独特な印象を放つ免色が登場し、その風変わりな名前から前作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を思い出しながら読み進む。
そのうちイデアやメタファーが登場すると流れがつかみ切れなくなった。
しかし本当の最後に色んなことを思う(人生を振り返えされられる)ことができた。
それは人間は皆、未完成であること。
人は誰でも秘密めいた持ちモノによりバランスをとりながら人間関係を保っていること。
そして恩寵のこと。
まぁ色々私の人生を思う(反省)機会ができたような気がした。
また読み終えた直後は柳田國男の遠野物語を連想してしまった。
遠野物語には明治三陸大津波で犠牲になった方に関連するシーンがある。また座敷わらしのお話もある。
これらが騎士団長殺しの最後の最後に触れられる東日本大震災のところから連想されたのだと思う。

あらためて「謙虚に生きていこう!」と思うことができた作品である。
私たちは未完成であるからこそ尚更そう思う。